お役立ち情報

そけいヘルニアの症状

INDEX

そけいヘルニアとは?

鼠径ヘルニアは、お腹の筋肉の薄いところから腸や内臓脂肪(大網)などが押し出され、 皮膚のところまで飛び出す病気です。
鼠径ヘルニアについて、まずその病名からお話しさせていただきます。医学に使われる言葉は一般的には少しなじみの無いことがあり、解剖学的な言葉で聞き慣れない言葉も含まれています。少し雑学的なお話になりますが、語源を知れば鼠径ヘルニアの原因や身体の構造が見えて参ります。

鼠径ヘルニアの種類

1.外鼠径ヘルニア(間接型)

幼児と成人が発症するほとんどの脱腸が、外鼠径ヘルニアです。鼠径部のやや外が膨れてきます。鼠径管※の内鼠径輪から腸や内臓脂肪(大網)などが外へ向かって飛び出します。内鼠径輪は、お腹から外へ伸びている血管と精管の通り道の中に腸などが入り込みます。内鼠径輪が拡大して腸や脂肪組織が入りこんで、これが少しづつ大きくなると最終的には陰嚢にまで脱出してくることになります。嵌頓(かんとん)になる可能性も高いです。男女問わず幼児から若年者まで、ほとんどがこのタイプです。中高齢者にも多いタイプですので一般的な脱腸と言えます。当院で初発の鼠径ヘルニア手術を受けられる方の約63%が外鼠径ヘルニアです。超音波(エコー)検査やCT画像診断から、下腹壁動静脈の外側からの突出があれば外鼠径ヘルニアといえます。手術の前にヘルニアの病態を知る事はとても重要で、特に日帰り・短期入院の手術を行う場合には、身体の負担が少なくする事を考慮して、外科医・麻酔医・看護スタッフがチーム一丸で準備致します。
※鼠径管:内鼠径輪から外鼠径輪までのこと。外腹斜筋腱膜、横筋筋膜、鼠径鎌で構成されている。

2. 内鼠径ヘルニア(直接型)

内鼠径輪より内側の鼠径三角(Hesselbach’s triangle)※という場所から腸や内臓脂肪(大網)が押し出され飛び出す形を内鼠径ヘルニア(直接型)と言います。 中年以降、加齢や生活習慣による組織の脆弱化により発症するヘルニアです。中高齢男性に多いのが特徴です。内鼠径輪を通らず腹壁を腸や脂肪などの脱出物が押し出し、ヘルニアが起こります。画像解剖からは、下腹壁動静脈の内側からの突出があれば内鼠径ヘルニアといえます。筋肉の緩みが原因ですので、放置すれば、突出がどんどん大きくなり、手術も困難になる傾向があります。当院で初発の鼠径ヘルニア手術を受けられる方の約22%が内鼠径ヘルニアです。
(Hesselbach’s triangle)ヘッセルバッハ三角:腹壁の前下部にあり、腹直筋の外側縁・鼠径靱帯と下腹壁動脈に囲まれた三角形領域